冠詞考察その③ 定冠詞 の the

2017年10月26日 13:07


本年度の個別面談が終了しました!

ほぼ全員の保護者の皆様からお時間をいただき

一対一でお話しさせていただくこのような機会は

私にとって非常に貴重な時間です。


学校、家、他の習い事の様子など

英語以外のお話も伺うことができますので

一人一人の生徒の個性や環境も配慮しながら

コーチングする上で大きな助けになります。


心よりご協力ありがとうございました。


もちろん、ご相談はいつでも大歓迎です。

どんな些細なことでも結構です。

事前にお話を伺っていると

教室でも配慮しますので

ご連絡いただける方が私も助かるんです。


私もレッスン後

頑張りましたよ、とか

気になることがあったら

引き続き一言でもメールするようにしますね。





さてさて、

あるお母様が、面談に当たって

コーチと話すから、

お子さんに何か気になることがあるかと

事前に聞いてくださったそうです。

そうしたら、次のことが気になる、と

伝言を授かったそうです。



それが素晴らしい質問なんです。


以下、お母様に返答した内容をまとめましたので

ご参考いただけましたらと思います。




Sight Word Readersの一番最後の本

「Fly Away」に関する質問です。


全文を記載しますね。



Fly Away

We will fly to the moon.

We will fly to the stars.

We will fly to the sun.

We will fly to Mars.

We will fly to the sea.

We will fly to the sand.

We will fly to the mountains.

We will fly home to land.



質問は、

「なぜMars(火星)にはtheがつかないの?」

というものでした。

鋭いですね。

以前にも

冠詞考察その①

冠詞考察その②

で述べましたように、

英語の冠詞は日本人にとっては

一筋縄ではいかない、

もっとも悩まされる分野だと思います。


今回も、冠詞考察その③ 定冠詞 の the 行きましょう!



みなさん様々な例で

ある程度ご存知かとは思いますが、

定冠詞 のtheは固有名詞にはつきません。


固有名詞というのは

大文字で始まって、

それ一つしか存在しないものです。


My name is the Hanako.

I’m from the Japan. 

とはならないですよね。

それと一緒です。



Wikipediaには

『天体のうち、

大文字で始まる古典語名(固有名詞扱い)には

theを付けない。

例えば、Mars(火星)、Venus(金星)など。』

とあります。

これについてはなんとなく

わかっていただけるのではないかと思います。


ここで話が終わりにできればいいのですが、

でもそうすると

We will fly to Moon.

We will fly to the stars.

We will fly to Sun.

We will fly to Mars.

としたくなるかもしれませんよね。

 

ところが

sunとmoonは

固有名詞、普通名詞になるケースがあるので

ややこしくなります。


① The largest moon orbiting Jupiter is Ganymede.

「木星の衛星で、もっとも大きいものはガニメデです。」

 このmoonは普通名詞で、「衛星」と訳します。

 

② The moon orbiting Earth is called the Moon.

 「地球の衛星は月です。」

 最初のmoonは普通名詞 最後のは固有名詞

 

③ Are all suns as hot as the Sun?
 
 「すべての恒星は太陽と同じように熱いのでしょうか?」
 
 最初のsunsはstarとしての普通名詞(sunはstarです)。

 sunを辞書で引いて見てください。

「衛星を持つ恒星」との意味もあるんです。
 
 最後のthe Sun は太陽系の中心の

 天体としての固有名詞なので the Sunとなります。

 

はあ、すっきりした!

太陽は the Sun で

月は the Moon、ですね。

 

ではもう一度Fly Awayの一部を記載します。

We will fly to the moon.

We will fly to the stars.

We will fly to the sun.

We will fly to Mars.


あれれ?

the moon も the sunも大文字でない普通名詞です!
 

実はこの場合は

明らかに私たちに身近であり、

目に見えて共通して理解できるものを表す

定冠詞の the + 普通名詞で

「太陽」と「月」が十分に表現できるのです。



先ほど三つの例を挙げて説明したように、

天体としての文脈で使用する場合は

the Sun, the Moonと表すのが正式ですが、

今回様々な天体関係の記述を見ても、

 the sun, the moon と

普通名詞のまま表記しているものも

多くありました。



私たちが日常的に使う場合は、

宇宙の天体という意味合いを持たせる必要はないので

わざわざ固有名詞を使わなくていい。

それでも「太陽」「月」と理解できるのです。




Fly Awayには出てきませんが、

「地球」を天体として表現する時は

定冠詞なしの固有名詞Earthです。

これはMarsと一緒ですね。

 

念のため調べたところ、

the Earthも使う、と主張している人も中にはいました。



the sun, the moonと同様、

昨今この区別は曖昧になっているのかもしれませんね。



ちなみにearthには用法が他にもあって、

earth, the earthは

地面や土を表す普通名詞です。



すごく長くなりましたが、

少しわかっていただけたでしょうか?



さてさて、

まだ頑張っちゃいます。


ここで面倒な話を追加。。。

一番最初に、

固有名詞には定冠詞のtheはつかない!


と説明しましたが、

地名に関して言えば、

一筋縄では行きません。涙涙涙



大陸、単独の島、単独の山、国、

地域、行政区画、都市、街、道路は

ほぼ冠詞を使用しない。


例えば、Europe(ヨーロッパ)、Skye(スカイ島)、Mount Fuji(富士山)、Germany(ドイツ)、Scandinavia(スカンディナヴィア)、Yorkshire(ヨークシャー)、Madrid(マドリード)、Washington Blvd.(ワシントン大通り)


これは最初の説明通りですよね。

イェイ! No 定冠詞!


しかしーーーっ


川、海、海峡、山脈、

砂漠、諸島、ガルフ、

半島、森などには

一般的に定冠詞が付く。


例えば、the Rhine(ライン川)、the North Sea(北海)、the Alps(アルプス山脈)、the Sahara(サハラ砂漠)、the Hebrides(ヘブリディーズ諸島)、the Persian Gulf(ペルシア湾)、the Iberian Peninsula(イベリア半島)、the Black Forest(シュヴァルツヴァルト)など。

ウィキペディアより



後者の川や海、海峡といった固有名詞には

「総和の原理」が働いて the がついちゃうのです。



「総和の原理」ってなに?


例えば

the Kennedys 「ケネディー家」と言うように

the …….s という形で表されるものは

一つの完結した集合体を表すんですよ。


グリーティングカードなどを

英語で出す場合、

砂田家一同

と書きたい場合は

The Sunadas

になります。


つまりライン川も多くの支流があって川となり、

海も海峡も境界がわかりづらい水もの。

砂漠の境界もわかりづらい。

諸島も島の集合体ですよね。


そういった固有名詞に限っては

the をしっかりつけて

ひとまとめにしてますよ感を

出したいのが

英語という言語なのだと思います。
 


長々とお付き合いありがとうございました。




おまけ①

太陽系の惑星の歌です。人気ですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=BZ-qLUIj_A0

おまけ②
There are 69 known moons of Jupiter!

なんと木星には衛星が69もわかっているだけであるんですって。


Coach Mariko




 

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